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IEC 60601かIEC 60335か:家庭用機器の規格選び

すべての家庭用健康機器がたどり着く分岐点

試作から発注書までのどこかの段階で、コネクテッドマッサージャーも、ライトパネルも、ネブライザーも、睡眠機器も、必ず同じ問いにぶつかります。医療用電気機器の規格であるIEC 60601で試験するのか、家庭用電気機器の規格であるIEC 60335で試験するのか。この問いを検索して出てくるのは、たいていフォーラムのスレッドと電源ベンダーのホワイトペーパーです。しかも読んでいるのは多くの場合、マーケティング部門が数か月前に判断を済ませた(あるいは判断しないままにした)後で、この問題を引き渡されたエンジニアです。

率直に言えば、これはポジショニングの意思決定であり、その結果がエンジニアリングに跳ね返ってくるという話です。規格は主張に従い、主張はブランドのものです。本稿では、この判断がどういう順序で決まっていくのか(まず主張、次に分類、次に規格、最後に試験経路)と、それぞれの道に何がかかるのかを整理します。なお、これは一般的な指針であり、規制・法務のアドバイスではありません。貴社の機器と市場についての最終判断は、貴社の規制コンサルタントが下すものです。

2つの規格、2つの異なる問い

この2つは、同じ試験の厳格版と寛容版ではありません。そもそも問うていることが違います。

IEC 60335とその製品別のPart 2群は、家庭用電気機器を普通の人が安全に使えるようにするための規格です。ケトル、シェーバー、スキンケア機器、マッサージ器などが対象です。問いはシンプルで、通常使用と予見可能な誤使用のもとで、その機器がユーザーを傷つけないか。感電、火災、機械的ハザードです。

IEC 60601、つまり医療用電気機器のファミリーは、もっと厳しい前提から出発します。この機器は患者に、それも体調を崩しているかもしれない患者に適用され、故障モードが身体に届きうる、という前提です。通則のIEC 60601-1には、家電の世界にはない考え方が入ってきます。操作者だけでなく患者のための保護手段、単一故障状態でも維持される安全、外乱に耐える基本性能、そして設計全体に組み込まれるリスクマネジメントです。副通則が特定の文脈に向けて基本を拡張し、個別規格が特定の機器種別をカバーします。

現場で起きることを言えば、IEC 60335に余裕をもって適合するよう設計された機器でも、IEC 60601の評価に耐えるには本格的な再設計(絶縁、沿面距離・空間距離、保護方策、文書化)が必要になることがあります。設計目標そのものが違うのです。回路図を引く前に、どちらの道か決めておいてください。

判断のフレームワーク:主張 → 分類 → 規格 → 試験経路

この順番で進めてください。主張より下流の各ステップは、おおむね自動的に決まります。本当に決断が要るのは主張のところだけです。

ステップ1:主張を書き出す

理想像ではなく、実際に箱と広告に載る言葉を書いてください。「運動後の筋肉の張りをほぐす」と「慢性疼痛を治療する」は、同じモーターと同じ筐体の話をしていながら、規制上はまったく別の道につながります。規制当局が分類の根拠にするのは、意図された使用とその主張です。ほかのことを決める前に、まず主張を書面で確定してく⁠だ⁠さ⁠い⁠。

ステップ2:主張に機器を分類させる

各対象市場の規制当局が、意図された使用と主張をもとに、その製品がそもそも医療機器かどうか、該当するならどのリスククラスかを判断します。疾患の治療・診断・緩和をうたう機器は、一般に医療機器の側に入ります。快適さ・美容・一般的なウェルネスをうたう機器は、一般には入りません。注意したいのは、この線引きが市場ごとに違うことです。同じ製品が、ある法域では医療機器、別の法域では民生機器という扱いになりえます。つまり分類は市場ごとに行うもので、世界一括では決まり⁠ま⁠せ⁠ん⁠。

ステップ3:分類を規格に対応させる

医療機器と分類されれば、IEC 60601ファミリーが適用されます。通則、該当する副通則(後述する家庭用のIEC 60601-1-11を含む)、そして機器種別ごとの個別規格です。非医療なら、IEC 60335と該当するPart 2です。EMCと無線の要件はどちらの道でも避けられません。ウェルネスのポジショニングを取ったからといって、電磁両立性や無線認証が免除されるわけではないのです。

ステップ4:試験経路と予算を計画する

ここまで来て初めて、試験計画と予算の話が具体的にできます。同等の製品で比べると、IEC 60601の評価はIEC 60335の評価よりも、文書も試験項目もラボの時間も多くかかります。要求されるリスクマネジメントファイルは、それ自体がひとつの成果物です。なお、試験結果を複数の市場に持ち運ぶ手段としては、どちらの道でも、該当規格に対するCBスキームの報告書が一般⁠的⁠で⁠す⁠。

この選択が実際に払わせるもの

コストは大きく3つに分かれます。

設計マージン。 IEC 60601は、単一故障のもとでも成立する保護を求めます。これは絶縁戦略、基板の間隔、部品の定格に効いてきますし、多くの場合、電源にも及びます。最初から織り込んでおけば、設計制約の一式で済みます。評価に落ちてから後付けするなら、基板の作り直しです。

試験。 60601の道はラボの費用も期間も膨らみます。しかも文書(リスクマネジメント、基本性能の根拠)は、ラボの作業が終わる前にそろっていなければなりません。60335の道は、それより短く、安く済⁠み⁠ま⁠す⁠。

スピードと上限。 IEC 60335なら、低いコンプライアンス費用で早く市場に出られますが、主張できる内容に上限がかかります。IEC 60601は先行投資が大きい分、医療機器としての主張を行う権利が手に入ります。要するに、市場投入までの時間と主張の上限との取引です。だからこの判断は、エレクトロニクスチームではなくブランド戦略の仕事なのです。

IEC 60601-1-11:家庭と⁠い⁠う⁠使⁠用⁠環⁠境

家庭用製品で医療の道を選ぶと、もう一層乗ってきます。IEC 60601-1-11は、在宅医療環境における医療用電気機器の副通則です。なぜこの規格があるのか。家庭は診療所よりも条件が悪いからです。電源は不安定で、環境は過酷で、操作するのは看護師がそばにいない一般のユーザーです。この規格は、機器が設置環境に頼らずに(たとえば保護接地に依存せずに)ユーザーを守り、その環境で安全に使い続けられることを求⁠め⁠ま⁠す⁠。

結論は単純です。家庭用の医療機器は、最初の回路図から家庭向けに設計するものであって、臨床用の製品を後から手直しするものではありません。同じハードウェアの発想が分岐の両側で製品として出荷されるカテゴリーで、それが実際どういうことなのかは、光線療法機器の製造のガイドで具体的に紹介しています。

ウェルネスは抜け道ではない

この分岐でいちばん根強い誤解は、ウェルネスのポジショニングを取ればコンプライアンスから逃れられる、というものです。そうではありません。別の種類のコンプライアンスが待っているだけです。製品種別に応じた家電安全規格、すべての対象市場でのEMCと無線の認可、有害物質規制、そしてウェルネスの主張の枠内にとどまるマーケティング。広告が治療の言葉に踏み込んだ「ウェルネス」機器は、その時点で自分を再分類しています。規制当局が読むのは試験報告書ではなく、マーケティングのほ⁠う⁠で⁠す⁠。

枠を誠実に守るかぎり、ウェルネスの道は正当な戦略ですし、そこで長く成功している製品はいくらでもあります。ただ、試験を飛ばす近道ではありません。どちらの道を選んでも、申請と主張はブランド自身のものであり、メーカーはそれを支えるエビデンスを用意します。この分業の詳細は、FDA申請文書サポートのガイドにまとめています。

メーカーにこの質問をする(あるいは、向こうから聞⁠か⁠せ⁠る⁠)

このカテゴリーで製造パートナーを見極める実務的な方法があります。経験のある工場は、最初の回路図が引かれる前に、貴社がどちらの道にいるのかを必ず聞いてきます。答えによって基板が変わるからです。Gooten Innolifeは1996年以来、家庭用医療機器とウェルネス家電を並行して製造してきました。ISO 13485:2016およびISO 9001:2015のもとで運営し、CB・CE・FCCにわたる適合経験を持ち、どちらの道でも貴社の規制チームの作業を文書・試験の面から支えます。分類の判断や申請を当社が代行することはありません。それはブランドの領分です。当社がやるのは、貴社の主張が選んだ規格に合わせて設計することです。試験報告書が設計のあら探しではなく、設計の裏づけになるように。

FAQ

まずIEC 60335のウェルネス機器として発売し、後からIEC 60601へ移行できますか? 多くのブランドがそうしています。ウェルネスの主張で市場を築いてから、医療版に投資するやり方です。ただし次の版は、書類の格上げではなく、本物のエンジニアリングの再設計として計画してください。60601の設計目標は、基板と電源アーキテクチャにまで踏み込んできます。

ウェルネス機器にも試験は必要ですか? 必要です。該当する家電安全規格、EMC試験、無線モジュールがあれば無線認証、そして対象市場の有害物質規制への対応です。ウェルネスのポジショニングで変わるのは適用される規格の中身であって、規格そのものがなくなるわけではありません。

自分の製品が医療機器かどうかは、誰が決めるのですか? 各対象市場の規制当局が、貴社の意図された使用と主張に基づいて決めます。それを読み解くのは貴社の規制コンサルタントの仕事です。メーカーは、その結果として決まる規格に沿って設計し、文書を残します。分類の判断を代わりに引き受けると言ってくるメーカーは、自分のものではないものを差し出しています。

回路図の前に、ご相談ください

貴社の製品がこの分岐に近づいているなら、決めるのに最も安く済むタイミングは今です。当社のエンジニアにお問い合わせのうえ、機器が何をするのか、何を主張したいのかをお聞かせください。NDAのもと、それぞれの道が設計にもたらす影響をご一緒に検討します。2営業日以内に初回のご返信をいたします。

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